本展は、アーカンソー・アーツ・センター(米国アーカンソー州リトル・ロック)の所蔵品から選んだ水彩、素描で構成されています。素描は完成作の単なる下絵と思われがちですが、西洋美術の世界では、それらが下絵という従属的な立場を離れ、それ自体独立した美術作品として鑑賞の対象になってきました。こうした素描の最大の魅力は、作家たちの制作の現場に私たちが居合わせているかのような臨場感を感じさせてくれることにあります。芸術家たちはそこで実にのびのびと素顔の自分をさらしています。完成作では見ることのできない彼らの素直な感興や素質のあり方を、素描はまざまざと語ってくれるのです。本展では15世紀から現在までの100人の芸術家の水彩、素描100点を通じて、約500年間の西洋美術の歴史を散策します。より身近な存在として芸術家たちの創造の世界を楽しんでいただきたいと思います。