シュウゴアーツでは6月1日より小林正人「画家とモデル」展を開催いたします。
古くは画家とモデルの関係性は「見る-見られる」「描く- 描かれる」というものでしたが、時としてモデルはその状態を超えて画家の感性に触れ、見えないものに形を与える媒介的な役目を果たすこともあります。高校時代に愛する人物を描くため芸術の世界に足を踏み入れた小林にとって、モデルは創作の根源的な動機であり、また共同制作者であり続けました。
小林の作品は孤立した物体ではなく、この星の時空間に存在する絵画です。その一つの答えとして90年代に小林は長方形の枠を飛び出し、キャンバスを張りながら手で描くという絵画の魂と肉体を一つに合わせるような方法論を創出しました。また00年代からはひどい絵から美しい絵の境界線を拡張するような作品を数々生み出してきました。
2017年から制作を始めた今展では、後ろ向きに横たわり背中から心臓を撃ち抜かれたモデルと、筆を咥えて歯噛みをする馬(画家)がそれぞれ描かれ展示されます。両者の関係性は謎に満ち、決してハッピーエンドを迎えるものとも限りません。しかしその過程のなかで画家は現実と画を生き抜き、過去も現在も統合し美を結実させます。その行為は神秘的であり、ひとりでなし得ることが出来ないからこそ、小林はこの星に捧げる作品として画家とモデルをテーマに制作を続けます。
是非ご期待ください。
2019年5月 シュウゴアーツ