田辺市立美術館では、一昨年から日本の高度で独創的な織による造形表現を展観するシリーズ、『現代の織』を開始しています。
この展覧会シリーズでは毎回、伝統的なものと独自なものとを素材と技法において連動させ、織の造形を、時代を反映した表現として駆使している現代の優れた作家の制作を特集します。西洋において洗練を重ねてきたタピスリーの制作を、新たな視点から現代の日本に展開する作家、また1960年代の後半から、「ソフトスカルプチュア」や「ファイバーワーク」といった言葉を生んで世界的な潮流となった、織による立体的な造形表現を追求する運動に参画した日本の作家の制作を取り上げてゆきます。
今年度の「現代の織Ⅳ」では、1970年代の初めからアメリカに渡って立体的な織の作品に取り組み、その後の繊維特有の鮮やかな色彩表現と洗練された造形によって現在まで国際的な高い評価を得てきている、草間喆雄(1946~)の制作を近年の作品を主にして熊野古道なかへち美術館(田辺市立美術館分館)の展示室にて展観します。