森洋子の『空想化石はくぶつかん』(学校法人城西大学出版会、2018年)は、本学東京紀尾井町キャンパスにある水田記念博物館大石化石ギャラリーの化石を題材にした絵本です。森洋子は、日常の隣にあるような子どもの空想世界を描いた絵本を発表してきました。鉛筆の細密な線を重ねて表わされる情景には、どこか懐かしい昭和の面影があります。本作品では、主人公の小学生が放課後にふと入った化石博物館で、石から抜け出したシーラカンスと泳いだり、うずまき化石ヘリコプリオンの正体を想像したりと、化石に誘(いざな)われ数億年前の世界に遊ぶ物語が繰り広げられています。
このたびの展覧会では、『空想化石はくぶつかん』の原画とともに、絵本に登場する魚と虫の貴重な化石や羽毛恐竜の化石レプリカを展示します。太古の記憶が刻まれた化石をめぐる物語をお楽しみください。