フィンランドでは、19世紀末のアーツ・アンド・クラフツ運動の影響を受けたアルフレッド・ウィリアム・フィンチ(1854-1930)などによって工芸教育の基礎が築かれました。1932年に設立されたアラビア製陶所の美術部門では、設備の整った環境で作家の自由な創作活動が認められ、動物の陶彫作品で知られるミハエル・シルキン(1900-1962)など、数々の傑作が生まれます。ビルゲル・カイピアイネン(1915-1988)やルート・ブリュック(1916-1999)などの色彩豊かで物語性のある陶板や造形的な作品は、国内外で人気を博しました。彼らを含むアラビア製陶所の作家が多数出品した1951年のミラノ・トリエンナーレでは、複数のグランプリを受賞し、フィンランド陶芸が世界に知れ渡る契機となりました。
本展はキュオスティ・カッコネン氏の所蔵作品から、約130件によりフィンランド陶芸の豊かな世界をご紹介します。