江戸の夏、祭が盛大に行われ、両国橋では花火が打ち上げられました。人々は浴衣姿で夕涼みをします。街には団扇、金魚、風鈴、涼しさをよぶ食べ物のところてん、冷や水など夏を彩る品々を売る物売りの声が聞こえます。浮世絵師は江戸の夏を団扇絵や一枚絵に描きました。
江戸の人々が涼をとった団扇には浮世絵師の描いた絵が貼られていました。役者、美人、風景、祭礼など様々の絵が団扇を飾っていました。団扇絵は団扇に貼って使用される実用的な性質上、今残されているのは団扇問屋が残した控貼の類が多いといわれています。
絵師たちは祭りや花火、舟遊び、蛍狩りなど、賑やかな夏の風物詩を浮世絵として描きました。涼み船や橋涼みする人々の手には団扇が、その上空には花火が、そんな情景が描かれました。
広重、国芳、国貞らの団扇絵、浮世絵で江戸の夏の情緒をお楽しみください。