線がうねり、にじみ、増殖し、重なり面を作り、形が生まれたかと思えば消えていく。線を描いては撮影し、撮影したコマをつないで映像にするドローイング・アニメーションの手法を用いた映像作品で知られる石田尚志は、時間を内包する動く絵として、空間を侵食する絵として、または線が生まれるその瞬間を捉える手段として、映像作品やライブパフォーマンスを表現の中心として活動してきました。
国際芸術センター青森(ACAC)のギャラリーは弧を描いた特徴的な形をしています。本展で石田は、このギャラリー空間の構造と光を取り込みながら滞在制作したドローイング・アニメーションの新作を発表すると共に、初めての試みとして、平面を曲線で切り出し組み合わせた彫刻作品を展示します。弧上に立ち上がる作品は、絵と映像、動と静、光と影、平面と立体、時間と空間など、様々な次元を行き来しながら、一つの線から生まれる豊かな世界へいざなうでしょう。