1951年11月、岡本太郎は東京国立博物館において縄文土器と出会い、その4次元的な造形力に衝撃を覚え翌年、美術雑誌『みづゑ』に「四次元との対話-縄文土器論」を発表します。これに端を発し、岡本は、いわゆる「わび」「さび」とは異なる、他の東アジア地域からの文化的影響を受容する以前の、本来の日本の文化、日本人の美意識とは何かについて考察を深め、1956年、著書『日本の伝統』として結実させています。
同書のために岡本は、本来の日本と考えた文化事象を、自らシャッターを切ってカメラに収めています。縄文土器・土偶、京都の古刹の中世の庭など、その写真は岡本が撮影した写真のなかでも、記録性を超えた高い写真芸術の領域にまで到達しています。
本展覧会は、岡本の著作『日本の伝統』を中心に、岡本による写真作品を通して、今日に生きる私たちにとっての「日本の伝統」とは何か改めて考える機会として開催します。