倉敷市立美術館では、郷土にゆかりの深い作家たちの作品を中心に、近・現代美術の流れを展望できるコレクションづくりを目指して、収集活動を行っています。平成29年度には、寄贈作品48点、管理替作品9点の合計57点が新たにコレクションに加わりました。このたびの展覧会では、初めて作品を収蔵することになった銅版画家の永岡博、画家の貝原浩、日本画家の森山知己、漆芸家の小松原賢次らの作品を中心に当館の収蔵作品をご覧いただきます。
永岡博は、人物をモチーフとした初期の作品から抽象的な表現を経て、フォトエッチングなどさまざまな表現を追求しました。貝原浩は雑誌の挿絵やイラストレーションのほか、ベラルーシ共和国でチェルノブイリ放射能被害にあった村人たちに取材して制作された作品など社会の出来事に目を向けた作品を発表しました。森山知己は、〈水の記憶シリーズ〉で独自の表現を追求するほか、尾形光琳の「紅白梅図屏風」の再現に挑戦するなど、伝統技法の継承にも力を入れています。小松原賢次は主に植物をモチーフとして螺鈿や蒔絵などの伝統的な技法をモダンに表現しました。
また、本展ではこれらの新収蔵作品に加えて、日本画家の池田遙邨、洋画家の斎藤真一らの作品も展示します。様々なジャンルの作家の多彩な表現をお楽しみください。