浮世絵の主な画題は当初歌舞伎役者や遊女でしたが、絵の対象は徐々に広がり、庶民の日常生活やグルメまでもが対象になりました。浮世絵の対象が遊里と芝居町から市井の生活に広がるきっかけの一つは子どもが描かれるようになったことでした。浮世絵には母と子の日常の姿や子どもの遊びなどが多く描かれました。
初代イギリス駐日総領事オールコックが日本を「子どもの楽園」と評したように。幕末から明治にかけて来日した多くの西洋人にとって日本の子どもが生き生きとし、大事に育てられていることに驚かされたようです。江戸時代の人々は子どもをかけがえのない後継者として大切に育て、教育にも熱心だったようです。子どもが多く描かれた背景にはこのような事情があったのかもしれません。
浮世絵に描かれた子どもたちには絵師の温かいまなざしも感じられます。子どもたちが描かれた浮世絵をお楽しみください。