作家コメント
私は1972年以来ポーランドと密接した関係を持ち、取材、発表を続けてきた。冷戦が終わって、ソビエト連邦から独立した国々は、EUに加盟していったが、今なを国境の監視を続ける国も有る。私は、ポーランドから陸路で国境を超えることが難しかった東欧に行くことを決意した。EUに加盟した国境の検問所は取り払われ、自由にヨーロッパを行き来することが出来るようになった反面、3つの国境検査は厳しかった。私はポーランドを取り巻く冷戦後の国境を越え、7ヵ国を取材して「国境」の旅は終わった。22年間に撮り溜めた作品の中には、冷戦下に置かれた緊張の記憶と、自由になった反面、二極化した社会に取り残された地域と小さな町があった。しかし、そこには貧しい中にも平和を願う人の姿を見ることが出来た。 塚原琢哉(写真家)