華麗に装った人々が様々な遊びに興じ、遊宴を楽しむ様子を描いた遊楽図屏風は、桃山から江戸時代前期に花開きました。この遊楽図屏風の二大傑作が、国宝彦根屏風と国宝松浦屏風です。遊びの文化が生んだ大輪の花であり、美しい着物や調度品が遊宴の豪華さを伝えるとともに、遊びの背景にある教養や、華やかさの陰に時にひそむ物憂さまでもが表現されています。
遊楽図屏風の主な舞台である遊里がそうであったように、天下泰平の世には、人々が集い、交流する場から、新しい文化に裏打ちされた新しい美が発信されました。江戸時代中期以降に盛んになる、趣味や志を共有する人々の集まり「雅会」も、そうした知的好奇心と教養に彩られた美を醸成する場となります。
本展観では、国宝彦根屏風、国宝松浦屏風をはじめとする近世初期の遊楽図や、遊楽図の系譜を継ぐ浮世絵作品、近世初期の遊楽図を懐古した江戸時代後期の作品、遊楽図と正反対に見えながらも共通項のある文人たちの雅会図、遊宴や雅会の場を盛り上げた工芸品を展示し、遊び集う文化の豊かさに注目いたします。
(担当 宮崎もも)