川端謹次は1909年(明治42年)に、現在の丹波市柏原町柏原に生まれました。幼少期より絵と工作が好きで、高等小学校卒業時に、当時の東京美術学校に入ることを夢見て、旧制柏原中学校へ進学しました。そこへ、東京美術学校を次席で卒業したばかりの後の日本画家山本求(茂斗萠)が赴任し、彼が作品を集めて開催した西洋画展覧会で藤島武二の絵を見て憧れ、本格的に画家を志しました。
1932年(昭和7年)に東京美術学校に入学し、本科に進んだ翌年から藤島武二の教室で4年間西洋画を学びました。
卒業後は、仙台陸軍幼年学校や、兵庫県立長田高校、関西大学や神戸女子短期大学などで美術を教えながら制作を続け、光風会展や日展に出品し、1998年(平成10年)に89歳で亡くなりました。
川端の絵は、「光と空気と水」をモチーフに、外光のもとで、特に空気感と水のきらめきというものの表現を一貫して追求してきたと本人は語っています。特に1955年(昭和30年)日展で特選を得た「潮風」では遠景で空と海が溶け合って、近景ではテント越しの夏の陽射しのきらめきと空気感を描き切った作品として著名です。
本人は作品を売ることは極めて少なく、自宅アトリエに作品の大部分を保管しておられましたが、阪神淡路大震災でアトリエが倒壊して多くの作品が犠牲になり、それを機に平成12年に神戸市へ172点、当館へは50点の作品が寄贈されました。その後2017年(平成29年)には小品を中心に遺族の手許に残っていた油彩画153点、スケッチ類、画巻、版木類などが当館へ寄贈されました。
この度は比較的大型の作品を中心に後期展として紹介します。