1920(大正9)年、東京・神田生まれの秋山庄太郎は、旧制中学在学中、同級生の兄の手ほどきで写真を撮り始めました。早稲田大学商学部を卒業した1943(昭和18)年には写真集『翳(かげ)』を自費出版、早くから写真家として活動を開始しますが、同年に陸軍から召集を受け、中国大陸へと渡ります。戦後は日本写真家協会や二科会写真部の創立に関わるなど、我が国を代表する写真家として、写真芸術の発展に力を尽くしました。
「私はいわば、いい意味での通俗を求めてきた」と語る秋山庄太郎。その膨大な撮影作品の中から、本展では女優、舞台俳優、文士、芸術家といった「時代の顔」と言うべき代表的ポートレートをはじめ、ライフワークとして取り組んだ花の写真芸術作品、写真家としてのターニングポイントとなった欧州外遊時のスナップなど、約130点の諸作品(オリジナルプリントを含む)によってその活動の全貌をご紹介いたします。