小原古邨(1877~1945)は、明治末から大正、昭和にかけて活躍した花鳥画の絵師です。日本ではこれまでほとんど紹介されることがなかったため、知る人ぞ知る存在でしたが、近年少しずつ注目を集めています。
古邨は鳥や動物、花といった身近な自然を、江戸時代から受け継がれた浮世絵版画の技術を踏まえつつ、時代の好みに合わせながら、淡く美しい色彩で描きました。その可愛らしい動物たちの姿は、どこか懐かしさを感じさせることでしょう。
本展は、東京都で初めて開催される、小原古邨の全貌を紹介した展覧会です。明治末に松木平吉の元から刊行された古邨落款の木版画や、昭和前半に渡邊庄三郎の元から刊行された祥邨落款の新版画など約一五〇点を展示いたします。さらに、制作工程が分かる肉筆の原画や試し摺りも合わせて紹介します。