ペローやグリムの昔話絵本で定評のあるスイスの絵本画家、ハンス・フィッシャーとフェリクス・ホフマンの絵本芸術を紹介する企画展を開催します。
ハンス・フィッシャー(1909-58)は、グリム童話の『ブレーメンのおんがくたい』を長女へのクリスマス・プレゼントとして描きました。その後ペローの『長ぐつをはいたねこ』、『こねこのぴっち』『るん ぷん ぷん』を制作、日本でもお馴染みです。子どもの絵本の仕事に短い生涯を捧げたフィッシャーの絵本は、躍動感あふれる自在な線と豊かな色彩表現に特色があり、動物たちが今にも絵本から飛び出してきそうです。
フェリクス・ホフマン(1911-75)も、『おおかみと七ひきのこやぎ』は三女に、『ねむりひめ』は次女にというように、最初はわが子や孫のために絵本作りを始めました。その後も『ながいかみのラプンツェル』『七わのからす』『うできき四人きょうだい』『つぐみのひげの王さま』『おやゆびこぞう』など、グリム童話の傑作絵本を数多く制作しました。ホフマンの絵本は、おさえた渋い色彩、余白の効果など計算しつくされた構成、読者のイメージをふくらませる登場人物の表現などグリム童話の絵本化に見事に成功しています。
本展は、小さな絵本美術館の特別の協力により、二人の主要作品の原画や下絵、メモなど貴重な資料を紹介します。
子どもたちへの贈りものとして愛情込めて制作された、世界的にも最もすぐれた二人の絵本表現をお楽しみください。