パリから南東に約60キロメートル離れた所にフォンテーヌブローの森が広がっています。そのはずれにバルビゾン村があり、19世紀、都会生活をのがれた多くの画家たちが集いました。カミーユ・コロー、フランソワ・ミレー、テオドール・ルソーをはじめとするこれらの画家たちはバルビゾン派と呼ばれ、自然観察を重視し、身近な森や農村の風景、人物を描きました。史実や神話をテーマとして理想的な人物や風景を描くことが主流であった当時のフランス画壇においては、写生に基づく自然描写は斬新な表現でした。写実主義の代表的な画家ギュスターヴ・クールベもバルビゾンの画家たちと交流し、多くの風景画を残しています。印象派と呼ばれるようになるクロード・モネ、オーギュスト・ルノワールなどの画家たちもバルビゾンの画家たちに影響を受け、屋外で制作する姿勢や明るい色彩を学びました。
本展ではバルビゾン派から印象派までの近代絵画の流れを、ボルティモア美術館所蔵のコロー、クールベ、ルノワール、モネなど日本人に愛されてきた37作家の作品98点により紹介します。