愛知県の尾張地方や西三河地方の丘陵部や平野部では「馬の頭(馬の塔)」と呼ばれる馬の祭礼が分布し、愛知県を代表する祭礼のひとつとなっています。この祭りは、背に神様の依代となる飾りを載せ、飾り馬具をつけた馬を社寺に奉納するものです。
この馬の頭から派生したと考えられるもうひとつの馬の祭礼が、高浜市や知多郡東浦町を中心にする知多湾岸域に分布しています。丸太で組んだ円形馬場の中で、大人たちが走る馬に跳びつき、まさに人馬一体となって駆け抜けていく祭礼です。高浜市では「おまんと」と呼び、特に高浜地区の「おまんと」はその精悍さを近隣に誇っています。
この度の展覧会では、この「おまんと」を中心にして愛知県における馬の祭礼の諸相を概観し、その周辺の民俗芸能も加えながら紹介します。