濱崎仁精展に寄せて
早いもので濱崎君は、こちら、SAVOIR VIVREでの個展も3回目となりました。
濱崎君は昼間の仕事をこなし帰宅した後は、あいている時間はほとんどカンバスに向かって過ごします。特に画室持っている訳ではない彼は、家族が集うテーブルを片付けて画業に入ります。濱崎君の絵のモチーフは、記憶の中での故郷の風景であったり、身近にいる動物や家の中の静物など、わりと日常の中に自然にあるものが多いのですが、濱崎仁精というフィルターを通して出力された作品には、描き出された動物の喜びや不安までもがありありと訴えかけてくるし、例えば静物でもその物をめぐって動く小さな感情がひたひたと伝わってくるのです。
彼を取り囲むすべてのものに向けられる観察の目は、「純聖」とも言えるような心根をしっかりと背景に持っていて、ぶれる事がありません。普通であれば、収入の面で画家をあきらめるところを、自分の唯一得意で好きな画業をもって家族を幸せにしたいという純粋な原動力をもってカンバスに向かい続けます。濱崎君のそうした姿勢こそが、私が彼の画業推す一番の理由であります。
小柄な体から紡ぎ出される彼の作品を是非ご高覧下さい。
工芸作家 工藤茂喜