松谷武判(まつたにたけさだ)は1937年に大阪市に生まれる。
ボンド(ビニール系接着剤)を使った作品で具体美術協会の吉原治良に認められ
メンバーとして解散まで活動する。 1966年にフランス政府給費留学生としてパリに
渡り、以降パリを拠点に諸外国を行き来しながら国際的に活躍する。
近年は2017年のヴェネチアビエンナーレ VIVA ARTE VIVAへの招聘出品などますます評価が
高まり、アジアおよび欧米各国の美術館、ギャラリー、アートフェア出品など目覚ましい活動を展開する。
また、来年6月にはパリのポンピドーセンターにて個展が予定されている。
本展「離見の見 挿絵の仕事」は、2016年12月より産経新聞全国版に連載中の亀岡典子氏
のエッセーに松谷が手掛けた挿絵の原画を中心に、書物にまつわる松谷作品を展覧、
松谷の新たな仕事の一面をご紹介するものです。
「離見の見(りけんのけん)」とは客観的視点の大切さを説いた世阿弥の言葉です。
コラム「離見の見」は、亀岡典子氏(現 特別記者)が産経新聞文化部の記者として長年にわたって
取材してきた古典芸能の名人たちの言葉や舞台を豊かな人生観と深い洞察力で見つめ、綴った
エッセーです。 新聞の連載コラムの挿絵制作は松谷にとってはじめての挑戦であり、パリで
制作をしながら楽しくてたまらない仕事だったと語ります。
本展に際して既出のエッセーと挿絵を収録した図録「離見の見」(バイリンガル編集)を発行します。
松谷氏の描き下ろしドローイングを収めた限定版も予定しております。