彫刻の素材は多種多様で、観る者に作者の意図とはまったく異なる表情をみせてくれます。
また、同時に時代の変化に伴う価値観の多様化によって彫刻のカタチは変容していきます。
それまでは考えられなかった複数の素材を合体させるなど、伝統的な様式の美の束縛から離れ距離を置くことやインスタレーション(空間展示)の概念の影響もあってますます自由度を増した表現をみせています。
本展は、素材や手法の変化に富み、多彩な展開を見せている岡山における現代彫刻の多様性とその面白さの一端をご紹介する選抜グループ展です。
抽象彫刻とは、時間や感情などといった視覚的に見えないものを自分の解釈で色彩や形、フォルムなどの造形要素を構成したものによって表現されたものです。
石と木を素材にしながら、不定形なイメージの向こう側へと歩を進め、そのイメージを掴もうとカタチの探求にいそしんでいる彫刻家たちの作品を通して、見る人の記憶にかすかな残像として留まるカタチを紡ぎながら、制作者の感性と見る人の感性によって創造される場、想像力をかきたててくれる特別な空間、時間になる貴重な機会になることでしょう。ぜひご高覧ください。