野口 久光(のぐちひさみつ)(1909~1994)は、‘33年東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後、映画配給会社・東和商事合資会社(のちの東宝東和)に入社し、ヨーロッパ映画の日本版ポスターを制作します。野口は豊かな表現力による絵と、タイトル文字を作品世界にあわせて描く「描き文字」により、映画の戦前戦後の約30年で1000枚以上のポスターを手掛け、映画ポスター・デザインの第一人者として活躍します。野口の仕事は、当時のグラフィック・デザイン界に大きな影響を与え、コンピューターによるデザインが主流の現代においても、今なお輝き続けています。
また、野口は、ジャズ評論家としても活躍し、ジャズ関連のグラフィックや写真にも優れた作品を数多く残しました。
本展では、野口が制作したヨーロッパ映画のポスターを中心に、ジャズレコードのジャケットや、雑誌や本の装丁の仕事など約400点の作品・資料により、野口久光の多彩なグラフィック・デザインの世界を紹介します。