1966(昭和41)年、東京・日本橋兜町に開館した山種美術館は、2009(平成21)年に渋谷区広尾へ移転して新美術館をオープンしました。2019年、広尾開館10周年を記念する特別展第一弾として、当館と縁が深く、同年に生誕130年を迎える日本画家・奥村土牛(おくむらとぎゅう)(1889-1990)に焦点をあてた展覧会を開催します。
当館の創立者・山﨑種二(やまざきたねじ)は、「絵は人柄である」という信念のもと、画家と直接関わり合うなかで、作品を蒐集しました。特に土牛とは親しく、無名だった時期の支援から約半世紀にわたり交流を続け、現在当館は135点に及ぶ屈指の土牛コレクションで知られています。
本展では、《醍醐》《鳴門》などの代表作をはじめ、再興院展への出品作を中心に約60点の作品を通し、土牛のあゆみをご紹介します。
80歳を過ぎて「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と真摯に精進を重ね、100歳を超えても絵筆をとり続けた土牛。この機会に、清らかで温かいまなざしに溢れた土牛芸術をご堪能ください。