この度、東京画廊+BTAPでは髙山辰雄展を開催いたします。 戦後の日本の近代美術を見直す試みとして、2017年に鳥海青児展、2018年に香月泰男展と、洋画のアーティストを紹介しました。本展では、日本画の髙山辰雄の作品を展示いたします。
髙山辰雄は 1912 年(明治 45 年、大正元年)大分県大分市生まれ。1931年に東京美術学校日本画科(現在の東京芸術大学)に入学し松岡映丘に師事しました。戦前は西洋画の影響で写実に徹していましたが、それでも土佐派的な穏やかな色調の画を描いていました。
戦後、日本画と日本の現状とのくい違いから制作の姿勢に迷いを抱きましたが、山本丘人の 勧めでポール・ゴーギャンの伝記を読み、作風や生き方に大きな影響を受けます。その後さらに伝統から離脱するかのような色面の構成とデフォルメされた抽象的な表現へ向かいます。
1962年に東京国立博物館で中国の南宋時代の画家・梁楷を観て、戦後取り組んできた造形的 な総決算ともいえる作品「出山」を創り、1970年以降は墨絵調のモノトーンな画面になりました。晩年の作品は墨の滲みを意識しながら、東洋画の特徴である線画を独自の解釈で完成 させます。
今回の個展では戦後から晩年の作品を展示します。世界の表現が標準化する中で、日本列島に伝承されるべき表現とは何かを考えるきっかけになればと願っています。