大城貞夫(おおしろさだお)版画展
浜松市出身の版画家・大城貞夫は、静岡県版画協会の前身となる童土社や日本版画協会で創作活動を行いました。郷土の文化人とも広く交流があり、原田浜人の『みづうみ』や後藤一夫の『詩火』の表紙を手掛けるとともに、浜松市美術館初代館長・内田六郎の蔵書票なども作成しています。のちに東京オリンピックの招致に尽力した田畑政治が関わった、浜松での日米交歓水上大会〔1950(昭和25)年〕では、記念品の版画を制作してアメリカの選手団に贈っています。その時の《夕映へ》《早春》《柿の実が熟すころ》の3点は、富士山や浜名湖の風景を抒情豊かに描いています。戦後は京都へ移住し、染織図案家として活躍しながら京都版画協会の立ち上げに参加し、《聖護院八ッ橋の家》(1952年)など古都の美しい風景を制作しました。素朴でありながら詩情に満ちた作品の数々は、今なお私たちを魅了します。
名品セレクション展
浜松市美術館のリニューアルを記念し、収蔵作品およそ7,000点の中から選りすぐりの名品を紹介いたします。ガラス絵や浮世絵をはじめ、重要文化財《刺繡不動明王二童子像》を特別展示いたします。竹内栖鳳などの格調高い日本画や、池田学・絹谷幸二など現在活躍中の作家の作品も見どころの一つです。また、大城貞夫展を記念して、同時代に活躍した地元ゆかりの創作版画家たちの作品もお披露目いたします。浜松市美術館の名品の数々をお楽しみ下さい。