写真家・小川光三の仕事と飛鳥園
會津八一と奈良大和路の出会いは、彼の生涯を左右する衝撃的な出来事でした。明治41(1908)年に初めて訪れ、その美術や風景に感動したことが、のちの短歌や書の制作、美術史研究へとつながりました。
本展では、會津八一が愛した奈良大和路にまつわる歌書作品と併せて、「飛鳥園」の写真家・小川光三(1928~2016)の作品を紹介します。
飛鳥園は、大正11(1922)年に八一の勧めもあって光三の父・小川晴暘(1894~1960)が創業した文化財写真・美術出版を専門とする会社です。昭和23(1948)年に飛鳥園を継いだ三男・光三は、戦後の文化財写真の第一人者として活躍しました。モノクロからカラー写真、さらにはデジタルに変わる時代に、光三は晴暘の写真技法を継承しつつ、被写体となる奈良の歴史、古代史を研究するなど研さんを重ねて、多くの奈良大和路の美術と風景を撮影しました。
秋艸道人賞写真コンテストの審査員を務めるなど、會津八一記念館の活動を長年にわたり支えていただいた小川光三の作品と八一の歌書作品をご鑑賞ください。