小林恒岳(こうがく)(本名恒吉(つねきち)。1932~2017)は、茨城県を代表する日本画家小林巣居人(そうきょじん)を父に東京で生まれ、戦後茨城に疎開してからは、一時期上京したものの、長く石岡市高浜や吾国山中腹(旧八郷町)で暮らしました。画業初期に抽象画を試みた小林は、昭和40年代後半になると身近な自然が破壊されていく姿に警鐘を鳴らした具象的な作品を発表、次いで昭和50年代後半以降は水と山に囲まれた茨城の豊かな自然とそこに生きる生き物に温かな眼差しを向けた作品を描くようになります。これらの作品は、小林が自然から感じ取った生命のかがやきとぬくもりを、写実と装飾性を融合させた平明で親しみやすい表現に昇華させ、誰もが共感できる生命讃歌として描きあげたものでした。本展では、小林が主な活動の舞台とした新興美術院展に出品された大作を中心とする59点により、その芸術の全貌と魅力を紹介します。