本展は青磁作家として活躍を続ける陶芸家、川瀬忍(1950年-)の作陶50年を記念する展覧会です。中国に起源を持つ青磁は、土や釉薬に含まれる微量の鉄分が焼成により変化し淡い青色を帯びるもので、非常に長い歴史を持つやきものです。18歳より作陶の道に入った川瀬は、宋時代の官窯青磁など過去の優品に学び研鑽を重ねたうえで、現代的な感覚を加味した独自の青磁を発表してきました。細部まで隙のないシャープな形、静謐で深い青の釉調など、作品はいずれも川瀬ならではの洗練された美を湛えています。また、近年では翠瓷、藍瓷など新たな色彩に取り組み、薬師寺東塔・基壇土との出会いから焼締作品を試みるなど、制作は豊かな広がりを見せています。展覧会では「間(ま)」をキーワードに、これまでの発表作に加え、未発表の作品、作家の憧憬する古美術等を取り合わせ半世紀に亘る仕事を紹介すると共に、その創作の秘密に迫ります。