日本列島では、毎年約8000件の発掘調査が行われています。「発掘された日本列島2018」展では、このうち近年発掘され成果がまとまった全国17の遺跡から546点にわたる資料を速報展示します。さらに、特集展示として全国の代表的な装飾古墳を取り上げます。古墳内部に表現された幾何学紋や器財・動物・人物等の文様は、古墳時代の死生観や葬送儀礼を知る上で極めて高い価値があります。この特集は、東日本大震災や平成28年に発生した熊本地震により装飾古墳が被災した事態を受け、装飾古墳の世界やその保護の取り組みを紹介するものです。
川崎でも、重要な遺跡が数多く発掘されています。現在の川崎市域には、かつて古代武蔵国の橘樹郡に多磨郡・都筑郡がありました。この三郡にはそれぞれ、橘樹郡に影向寺遺跡、多磨郡に菅寺尾台遺跡、都筑郡に岡上栗畑遺跡の古代仏教遺跡があります。瓦塔や「寺」と書かれた墨書土器などが「ムラ」の遺跡から出土し、また丘陵地帯には骨蔵器を用いた古墓群が造営されました。これは古代になって新しく出現した有力氏族の墓所と考えられます。本展では、これらの遺跡から発掘された資料から、古代寺院の成立とその後仏教が「ムラ」に浸透していく過程を描きだします。古代の川崎に華開いた、仏教文化をご観覧ください。