タイトル等
川島秀明
Youth
会場
小山登美夫ギャラリー
会期
2018-11-24~2018-12-22
休催日
日月祝 休
観覧料
入場無料
概要
この度小山登美夫ギャラリーでは、川島秀明展「Youth」を開催致します。

川島秀明は1969年愛知県生まれ。1991年東京造形大学卒業後、1995年から2年間比叡山延暦寺での仏道修行などを経て、2001年アーティストとしての制作活動を開始します。活動初期より、川島は一貫して自意識と向き合い、顔、そしてそこに現われる繊細で複雑な感情を描き続けてきました。川島作品を観る者は、うっすら塗られた色のグラデーションの巧緻さと、時に強く、時に憂いを帯びた魅惑的な眼や表情に引き込まれ、自分とどこか繋がる部分があるような、心揺さぶられるような感情を覚えるでしょう。
今までに国内外で多数の展覧会に出展しており、主な展覧会に、「Japanese Experience Inevitable」(ザルツブルグ近代美術館、オーストリア、2004年)、「ライフ」(水戸芸術館、2006年)、「アイドル!」(横浜美術館、2006年)、「Little Boy」(村上隆キュレイション、ジャパン・ソサエティー、ニューヨーク、2006年)など。2007年には韓国のポチョン・アジア・ビエンナーレにも出展し、2009年には韓国のKukje Galleryで、2011年、2014年にアメリカのRichard Heller Galleryで2度の個展を行っています。

本展は、2014年 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryで開催した個展「come out」以来、小山登美夫ギャラリーでの4年ぶり5度目の個展となり、新作を発表致します。

【川島作品について】

過去17年に渡る制作活動の中で、川島作品は細かな変化を遂げてきました。
2009年頃までの川島作品は、人か魂か、性別や年齢もわからない「顔」が空中に浮かび漂うように描かれ、風になびく髪の流れと伴って、画面に独特な浮遊感を生み出していました。そして全てを見透かして観る者を試すかのような強い眼と、妖艶さが特徴であり、その独特な世界観は国内外で多くの評価を得ました。川島はいままでこの時期の作品を、何かの対象を描いているというより、キャンバスを鏡に見立て現れて来るイメージを追っているという意味で「自画像のようなもの」としていましたが、しかし今改めて思うと、あのイメージは虚像であり、単純なイメージを描き続ける事でむしろ自分を隠し、自分にとっての「仮面」だったのではないかと語ります。

2010年頃から、それぞれ髪型や服装の異なる、明らかに「人物」である上半身のポートレートを描き始めます。眼は非常に印象的でありつつも、強さというよりはどこか憂いを帯びるようになりました。その変化は従来、「肥大化した自意識を一度ニュートラルに戻したいためにその目は他者へと向けられた」ためとされていましたが、川島は今振り返った心情を次のように語ります。

「普通に人物を描くようになったのは、自分としては『変えた』というより、その仮面を外した結果『元に戻った』という感じです。・・・(中略)他者を描いているようで、実は自分の心情を投影した、自画像に近いものでした。」

【本出展作について】

今回の新作では初めて画面に二人、三人と複数描き、背景を描くことに挑戦しています。

川島自身、本出展作に関して次のように語ります。
「一人だけの場合、描いている自分にとっては一人称の世界で、見る人にとっては二人称の世界。二人三人と複数になると、これは三人称の世界で、少し客観的な視点が入って来る気がして、今後また少し違った作品が描けるような予感がしています。」
「今回の個展に出す作品も、相変わらず自分を投影した人物で、自画像のようなものである事に変わりはないのですが、従来のように鏡に映った虚像そのものを描くという感じから、その虚像を見ている自分を描くという、幾らか客観的な視点が混じっている気がします。・・・(中略)自分としてはやっと一歩外に出られたと感じています。」
「絵の中の人物との間に幾らか距離ができた事で、表情によって情緒を表すだけでなく、設定や物によって『言葉』を使えるようになりました。その分説明的にもなるので、以前は避けていた事なのですが、それだけ『他人事』のように描けているのかもしれません。」

川島は自意識、自己の内面にどう向き合うか苦悩し続けてきましたが、今回はそこから少し距離を置いて客観的に見つめることで、不思議な力強い存在感を帯びた新しい作品の展開が広がります。

【本展ついて】

本展のタイトル「Youth」に関して、川島は、「自分が描いているものは、その当時(10代の頃)への蟠りではないかと思い当たりました。ナルシシズムだったり恋愛だったり進路だったり、後悔の混じった感傷が強くあって、それが絵を描かせるのではないかと。」語ります。

川島作品に通底する、自意識やナルシシズム。まるで自他の存在を確認するかのように作品に向き合い、疑い、否定し、葛藤しながら制作をし続けてきた川島にとって、作品制作とは、居心地の悪さを感じながらも、生きるために必要な日々の営みなのかもしれません。

インディペンデントキュレーターの東谷隆司氏は、川島作品に関して次のように述べました。

「川島秀明の絵に、二つの相反する意識を感じる。なるべく慎み深く人目を憚ろうとする自戒の念と、過剰なまでに自らを主張したいというわがままでナルシスティックな願望だ。」
「この世界から逃げ出したい。どこまでも純粋でありたい。でも自分のことはわかってほしい。そんな甘ったれたモラトリアム的な願望を、この社会は決して相手にしないだろう。だが、川島はそんな願望への共感を描く。」
(東谷隆司「川島秀明 Shadow Monk - We'll Run Away, Keep Everything Simple」、小山登美夫ギャラリー個展に際しての文章、2003年)

私達が今、川島作品を観て、何を感じるかー新しい川島作品の世界をご覧に、是非お越しください。
イベント情報
オープニングレセプション
2018年11月24日[土]18:00-20:00
*作家も在廊致します
会場住所
〒106-0032
東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
ホームページ
http://www.tomiokoyamagallery.com
東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
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