本展は、文化庁主催により、平成28年10月に開催した「ここから―アート・デザイン・障害を考える3日間―」展と、平成30年3月に開催した「ここから2―障害・感覚・共生を考える8日間」展を継承する展覧会です。
3回目の開催となる今回は、「障害・年齢・共生を考える」をテーマとし、年齢については「エイジ/レス」をサブキーワードとしました。障害や年齢を超越して、ものをつくることについて考え、また同じ場に集って展示を見ることにより、アートを通じて共生社会を考える機会となるよう企画するものです。また、「障害者週間」と会期を重ねることで、共生社会への関心や理解がより深まることを期待しています。本展では、障害のある方たちが制作した魅力ある作品と、文化庁メディア芸術祭の受賞作などから選ばれたマンガ、アニメーション作品や、参加型のメディアアート作品等を展示し、ワークショップや監修者によるトークなどのイベントも併せて行います。
年齢や障害にかかわらず、様々な人々が気軽に楽しみ、そこから新たな意識につながることを願っています。
前山 裕司(本展監修/美術評論家、新潟市美術館館長)
小林 桂子、戸田 康太(本展協力/独立行政法人日本芸術文化振興会プログラムオフィサー(メディア芸術))
3つのパート
1 ここからはじめる
生きる・つくる・アートの原点に触れる
障害のある人の創作活動には、表現すること、さらには生きることの原点に触れるような作品が見受けられます。生きることとつくることが等しいような作品は、見る人の心に直接届きます。さまざまな作品との出会いから一歩が始まるはずです。
●出品予定作家/石栗仁之、大倉史子、大路裕也、大庭航介、熊田史康、中崎強、濱田幹雄、藤岡祐機、横溝さやか、吉川真美
2 ここからおもう
多様な「エイジ/レス」を描くメディア芸術
マンガやアニメーション、ゲームやメディアアートなどのメディア芸術作品から、本展のテーマである「年齢」や「生きること」と結びつくようなマンガやアニメーション作品を展示します。これらは、年を重ねることや、現実と向き合うことについて考えさせるだけでなく、多様な表現のあり方も気付かせてくれます。加えて、凹凸が浮き出る特殊なインクを用いてマンガを印刷し、直接触れることで作品理解に役立てることができる「蝕図(しょくず)」の展示も行います。
●出品予定作家/いがらしみきお、池辺葵、松田洋子、湯浅政明、Debanjan NANDY
3 ここからひろがる
「いまのわたし」が感じる世界
私たちは、生活のなかで常に何かに触れ、その感触から様々な情報を得ています。ここでは、「触れて感じ取る力」を使って空間を知覚するプロジェクトを紹介します。それぞれ違った年齢や身体的な特徴を持つ私たち自身は、世界をどのように感じ取ることができるでしょうか。
●出品予定作家/echo project