松尾敏男(1926-2016 長崎県出身)は、17歳の時に日本美術院の同人であった堅山南風に師事し、画家としての第一歩を踏み出しました。2016年に亡くなるまで院展を主な舞台として作品発表を行い、生涯を通して常に新たなテーマを追求し続けました。花鳥画に始まり、抽象表現に挑戦し、風景、肖像、動物など枠にとらわれない幅広い作風を展開しました。中でも、日本の美を再認識して描いた牡丹の作品群は、画壇の注目を集め自身の代表作となり「牡丹の画家」とまで呼ばれるようになりました。
本展は、「毎日が常に出発である」を信条としていた松尾が最後の展覧会と位置付けていたものであり、初期の作品から絶筆といわれる≪玄皎想(げんこうそう)≫まで自身が生前に選定した作品を中心に紹介します。加えて原画を手掛けた横綱白鵬関の化粧まわしや富山県美術館収蔵作品≪日蝕≫を特別展示し、松尾芸術の全容を明らかにするものです。