フランス印象派を代表する画家として、日本においても広く知られているクロード・モネ。
19世紀後半、近代化の進むパリとその近郊を中心に、アルジャントゥイユ、ヴェトゥイユ、そしてジヴェルニーへと居を移しながら、モネは生涯にわたって自然を描き続けました。この展覧会では、モネの自然に対する眼差しが初期から晩年に至るまでどのように変容していったのかを辿るとともに、1860~80年代における印象派の揺籃期・誕生・分裂・次世代の台頭という重要な絵画史の動きの中で、同時代の画家たちとの関わりが、モネの画業の展開にどのような意味をもち、その後の展開にいかに反映していったのかを跡付けようとするものです。
1863年のサロン落選展を契機に、マネを中心としてカフェ・ゲルボワに集う若い画家たちの中から、独立展開催の気運が高まりました。そして1874年、モネ、ピサロ、ルノワール、シスレーらは、第1回のいわゆる「印象派展」を開催しますが、第4回以降ドガとの意見の相違から次第に分裂し、1886年の第8回展では、シスレー、シニャック、ゴーギャン、ルドンら、新印象主義、象徴主義と称される新たな世代へと移行していきます。
モネはこの時期から、《積み藁》の連作を開始し、以降《ポプラ並木》、《ルーアン大聖堂》などの連作を次々に生み出していきます。1900年以降次第にジヴェルニーの自邸の庭にその表現は集約され、《睡蓮》の連作をはじめとする旺盛な製作を展開していきました。
この展覧会では、19世紀後半から20世紀初頭にかけて繰り広げられたモネと印象派の画家たちによる豊穣な活動を、パリ・マルモッタン美術館のコレクションを中心にモネの作品及び同時代の画家たちの作品約70点で構成し、紹介するものです。