日本を代表するデザイナーの一人である五十嵐威暢(いがらし たけのぶ)。グラフィックデザイナーとして活動していた1970年代半ば、建築設計用製図台(ドラフター)を用いて二次元の文字を三次元におこした立体文字による作品で世界的に注目されます。また、サントリーや明治乳業、カルピス、サミットストアなどのロゴを手がけ、多くのロングライフデザインを生み出してきました。
1994年、五十嵐はデザイナーから彫刻家に転身します。肥沃な大地を思わせるテラコッタのレリーフ、木の葉や花のかたちに合板を切り抜いた「こもれび」シリーズなど、五十嵐による彫刻作品は、どこか自然の気配を残しながら、子どもの遊びのようにひたむきに素材と向き合い、創り出されています。
本展では、デザイナーとしての原点である1973年の個展から彫刻家としての現在までの仕事の変貌を示すポスター、プロダクト、彫刻、約150点が一堂に会します。「アートは日常の暮らしと風景によりそうことによって、人々の心をさらに豊かなものにする」と考え制作を続けてきた五十嵐威暢による、デザインとアートが融合する無二の世界をお楽しみください。