アートコートギャラリーでは、彫刻家・川島慶樹の新作個展「Twiggy Project」を開催します。
ステンレスの細枝にガラスの花が光り、華奢なシルエットが魅力の《Twiggy》(2016-)は、人と出会い旅をするために作られた彫刻作品です。《Twiggy》を抱えてギャラリーにやって来た作家は、展示空間を器にし、花を生けるように配置しながら作品に生命の息吹を与えます。その場所に生まれるさまざまな関係性、交流や絆を頼りに次の目的地を獲得し、作家は作品と旅を続けていくプロジェクトを計画。すでにスペインとイタリアには《Twiggy》の来訪を待つ人々がいます。
この「Twiggy Project」の幕開けとして、本展では30本すべての《Twiggy》を中庭空間に生け、群生する満開の光の花々で、皆様の来訪をお待ちします。また、展示室内では、切り花をイメージした《Twiggy snip lamp》や絵画とともに、最新作の数々をご紹介します。
複数の要素の特性から生まれる物理的な制約によって、
全体の造形が影響を受け、形態が変化していく。
細部の着想が全体の構想を支配しているような感覚を
好んで模索している。
川島慶樹
川島慶樹は1980年代より「アート・ナウ」や「サントリー美術館大賞」などに選出され、異素材を組み合わせた有機的なフォルムの大型抽象彫刻で関西ニューウェーブの新進気鋭として高い評価を受けました。 素材や環境上の制約を、川島は新たな発見や造形展開の好機として捉え、むしろ挑戦する姿勢で制作を続けてきました。石、木、ガラス、金属(ブロンズや鉄)のクラシックな彫刻素材に加えて、2000年以降はカラフルなポリエチレン素材を取り入れ、近年ではステンレスとガラスを組み合わせた 原始植物や未知の生命体をモチーフにしたシリーズで作品を展開させています。
約30年に渡りさまざまな素材からつくり上げていく中で、人や場所との関係性が作品と共に築かれていく状況にさらなる可能性を見出し、川島は2016年より「Twiggy Project」の構想を始めました。
「作品に旅をさせること」をコンセプトに、枝と花のパーツはコンパクトに運べるように、また空間に合わせた展示の柔軟性をも実現できる独自の設計を追求し、実際に制作し展示も行いながら《Twiggy》の改良を重ねてきました。川島は《Twiggy》を、美術に特化した場所に限定せず、街の一角や山中の奥地まで、世界中の至る場所で愉しめる作品とすることを計画しています。現実世界の中に美術の存在する場を広げて旅立つ、川島慶樹の飽くなき挑戦が始まります。