人類誕生の地であるアフリカ大陸では、さまざまな地域で豊かな文明が栄えていました。ギニア湾岸のナイジェリアを中心とした西アフリカ地域では紀元前500年に遡るノク文化以降、数々の王国が興り、繁栄の歴史を美術品に刻んできました。
本展は西アフリカの美術2000年の輝かしい歴史を日本に初めて紹介する展覧会です。展示作品はノク文化のテラコッタ像に始まり、12~16世紀に栄えたイフェ王国で制作された神々のブロンズ像、16世紀頃ベニン王国の宮廷を飾った装飾品、王国や部族の繁栄を支えた黄金の重要性を物語る装身具と錘の数々、そして、各種宗教儀礼で使用された仮面などで、いずれも西アフリカ地域に生きた人々の歴史と文化の語り部となっています。
アフリカ美術の最大の特徴は「圧倒的な生命力」とされ、その生き生きとした造形が20世紀初頭ピカソに代表されるヨーロッパの芸術家たちや以後の現代美術に大きな影響を与えたといわれています。しかし、それはほんの一面にしかすぎません。この展覧会を通して、西アフリカ美術の知られざる真髄を味わっていただきたいと思います。