武蔵野美術大学 美術館・図書館民俗資料室では、展覧会「東北の木地玩具―遊びと祈りの造形―」を開催いたします。
日本には土人形や張り子人形など様々な素材を用いて作られた玩具があり、それらの中には地域の風土と信仰によって生み出されたものが数多く見られます。また、子どもの健やかな成長を願うなど、祈りの意味が込められています。
ろくろの回転を利用して木材を削り加工した玩具は、木地玩具と呼ばれています。椀や盆などの日常生活用具を製作する木地師と呼ばれる職人によって作られました。
生産地は各地にありますが、そのなかでも東北地方の木地玩具はとくに種類が多様です。東北では文化・文政期 (1804-1830 年 ) に、一般庶民の間で温泉地で療養する湯治と呼ばれる風習が始まったとされ、広く普及していきました。これに伴い、日常生活用具だけでなく、温泉地で販売するお土産品として子どもが遊ぶ木地玩具の製作もされるようになりました。
木地玩具は、工業的に製作された玩具とは異なり、一つ一つ手作りで作られています。ろくろによって生まれる丸みを帯びた形は独特な風合いがあり、人々に親しみを与えてくれます。
本展では民俗資料室の所蔵資料のうち、未公開の東北の木地玩具を約190点ご紹介します。
木地玩具には、こけしのデザインを受け継ぐえじこ(嬰児籠人形)や様々な種類の独楽、車輪で動く動物や乗り物などがあります。制作した木地師や地域によって異なる模様など、バリエーション豊かな木地玩具をお楽しみください。