私が版画をはじめたきっかけは、栃木県立図書館が主催した「多色刷り木版で蔵書票を作る」という講座に参加したことです。その時の講師は川上澄生先生でした。1962年、私が19歳で、宇都宮大学の学生の時です。
1965年から2003年まで38年間、金融機関に勤めました。転勤で、東京のほか札幌から鹿児島まで、8都市に住みました。その間各地で収集した郷土玩具を版画にして、勤務先の広報誌(月刊)に「郷土玩具シリーズ」として連載する機会をもちました。そのことで版画を忘れずにすみ、版画の良いトレーニングにもなりました。また、各地の気に入った風景も版画にしました。
2003年、定年後に長野県軽井沢町に転居して、近くの浅間山を主な題材にして版画を作っています。この活動もすでに15年が過ぎました。
私の版画は、シナベニヤを使う木版で、小~中判のものは水彩絵具で刷りますが、浅間山などの大判のものは油絵具を使って刷ります。季節によって、時刻によって、見る場所によって様々な姿を見せてくれる浅間山の魅力を、今後も追及してゆきたいと思っています。