私たちが意識するかどうかに関わらず、世界は動きによって成り立ち、変化を続けています。
体を動かしても動かされても、移動した事実は一つの変化といえるでしょう。体内に巡る血液の動態には無自覚ですが、これも明らかな変化です。また、感情を持つとき、その動かされた心は変化しています。さらに、全ての物質を構成する素粒子は常に揺れていることを考えると、自然環境や人工物までも動きに満ち、環境や人の動きが絡まり合って社会は構築され、歴史は紡がれていることがわかります。感動・移動・動機・振動・衝動といった言葉の通り、感じ取れる変化にも、そうでない変化にも動きが発生しているように、動きは変化でもあるのです。
そして、私たちが不思議な現象や未来について知るには、これらの動きを読むことが求められます。解明された意識しやすいものだけでなく、未解決で無意識になりがちな動きも取り込んで想像していけたら、どれだけの可能性が見えてくるでしょうか。
アーティストたちは作品を通して、これらの微細な動きを気づかせ、後に予想以上の大きな変化をもたらすことを教えてくれます。それはときに静かな警告として、豊かな提案として、私たちの心を動かします。このプログラムでは、アーティストと共に全ての物事に存在する動きに耳を澄ますことから始めてみましょう。