高麗青磁は高麗王朝(918-1392)の滅亡とともに姿を消し、人々にもほぼ忘れさられた「幻のやきもの」でした。ところが19世紀末から20世紀初頭にかけて、王陵をはじめとする墳墓などから掘り起こされ、再び世に現れました。翡翠(ヒスイ)のきらめきにも似た美しい釉色の高麗青磁は、瞬く間に当時の人々を魅了し、その再現品もつくられるなど、一躍脚光を浴びました。高麗王朝では仏教が国家の宗教となり道教も盛んでした。また中国から喫茶文化が伝えられて流行します。こうして祈りの場や儀礼、喫茶具や飲酒具などに用いられるものとして高麗青磁が誕生し、独自の発展を遂げました。高麗王朝建国1100周年にあたる2018年、本展覧会では、「祈り」と「喫茶文化」、「飲酒文化」を切り口に大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の名品を中心に国内の代表作も加えた約250件により、高麗青磁の新たな魅力を紹介します。さらに、今回は近代の高麗青磁再現品も併せて展示し、当時の人々の高麗青磁に対する熱狂と再現への努力を紹介します。大阪市立東洋陶磁美術館としては約30年ぶりに満を持して開催する高麗青磁の一大特別展を、ぜひご堪能ください。