熊本市現代美術館のフリースペース「ホームギャラリー」は、2002年の開館当初から、来館者によって多目的に活用されてきました。中でも、マリーナ・アブラモヴィッチによる壁面書棚の作品《Library for Human Use) (2002)は、誰しもを受け入れる「アートと本のあるくつろぎの空間」をつくりあげています。 この「くつろぎのホームギャラリー」に対し、本展では、本と人と作品の別な在り方を熊本出身のアーティスト、松延総司とともに「ねじれたライブラリールーム」として提案します。「ねじれたライブラリールーム」では、通常開架していない展覧会カタログや作品集、アートブックなどを手にとって読むことができます。また、これらの本とともに、松延の作品を展示します。輪ゴムをねじった作品《Twisted Rubber Band》(2012-)など、日常の中にある物に、ほんの少し手を加えた松延の作品は、独特の存在感を静かに放ち、ささやかな刺激のある読書空間をつくりだすでしょう。(池澤茉莉)