日本美術院の前理事長・松尾敏男(1926~2016)の没後初の回顧展を開催。2016年90歳で逝去した松尾敏男は3歳まで長崎で過ごし、17歳で日本美術院の同人である堅山南風に入門し戦後、新進気鋭の日本画家として頭角を現します。以降、日本美術院を主体に日本美術院賞、日本藝術院賞など受賞を重ね、2012年文化勲章を受章し、70余年の長きにわたり活躍いたしました。
本展は、松尾が最後の展覧会として自ら構成を練り作品選定をおこないました。院展初出品となった20歳の作品から内省的な絵画を追求した時代を経て、伝統的な日本画の素晴らしさを再認識し写生を重視した画風を確立しました。そして崇高なる精神性を持つ馥郁(ふくいく)たる牡丹を描き、松尾芸術の白眉となる作品群を生み出しました。さらに、水墨の極致を求めた実質上の絶筆である、《玄皎想(げんこうそう)》に至るまでの約50点の作品により松尾敏男の全貌をご紹介いたします。