本展の3人の共通点は、「記憶」を題材に制作している点です。ニューヨークでの美しい記憶の対象が破壊されることへの慟哭や、好きな映画の一場面を独自のデペイズマンの手法で描く依田洋一朗。幼少期に滞在したアジアの記憶を、高度な色彩対比と光で美しいトロンプルイユに料理する箱嶋泰美。そして、旅行で訪ねたフィンランドで、網膜に焼き付いた光と記憶をテーマに、「過去を、今、追体験させる」抽象絵画で表現する畑山太志。キャリアもバックグラウンドも違えど、「記憶」をテーマにした3人の画家の壮大な叙事詩的作品をゆっくりとご堪能ください。