田辺市立美術館では、昨年度から日本の高度で独創的な織りによる造形表現を展観するシリーズ、『現代の織』を開始しています。
この展覧会シリーズでは毎回、伝統的なものと独自なものとを素材と技法において連動させ、織の造形を、時代を反映した表現として駆使している現代の優れた作家の制作を特集します。西洋において洗練を重ねてきたタピスリーの制作を、新たな視点から現代の日本に展開する作家、また1960年代の後半から、「ソフトスカルプチュア」や「ファイバーワーク」といった言葉を生んで世界的な潮流となった、織による立体的な造形表現を追求する運動に参画した日本の作家の制作を取り上げてゆきます。
今年度の「現代の織3」では、素材となる糸の染めと織りの技術双方に独創的な手段で取り組み、織りの構造そのものを表現に取り込んだ斬新な作品を発表し続けている、朝倉美津子(1950~ )の芸術を紹介します。