「版表現と身体性」
私の作品は、日本の伝統的な水性木版画の技法で制作されています。
版に伝わる圧力や凹凸を直接感じながらやさしく撫でるように紙に押し当てたり、力をこめて摺り取ったり、関わり方の違いにより同じ1枚の版木でも様々な良さや美しさが表れるところにバレンを用いて摺る面白さがあります。
「版表現」というと少し難しく感じると思いますが、例えば砂場で手足をついて遊ぶ、釣った魚に体表現を詳細にうつし取る事は、目で見る「視覚」以外にも「触覚」が働きます。
この個展では近作の中から「版表現と身体性」について考え、制作された3つのシリーズを展示致します。新作の「版木」を用いたインスタレーション作品「青黛(せいたい)の泡沫(うたかた)」は、鑑賞者が直接版木に触れ、彫刻等で彫られた痕跡を「目」と「手」を連動させ身体全体を使って鑑賞する試みです。
体感して頂ければと思います。