時習学校は、明治期に開設された、川崎市内で初の私立中学校で、その創設者が安楽寺の第29世当主、宗澤文山(むねざわ ぶんざん)です。
明治18年、宗澤文山は小学校教育が一般的だった時代に、「地域の人々に多くの学ぶ場を」という志から、後に時習学校と呼ばれる私立中学校を創設しました。これは川崎市内で初めての中等教育機関で、現在の中原区下小田中の安楽寺内に学びの場を提供しました。
その業績は、川崎での学校教育の先駆をなすものと同時にその礎を築き、後に中原町長となった安藤安(あんどう やす)や、文学者の大貫雪之助(おおぬき ゆきのすけ)など、地域にとって大切な著名人を生み出す原動力ともなりました。
この大きな業績を、後世に正しく伝えるべく、40年にわたって書き続けられた文山日記や貴重な教科書類を展示する中で、時習学校とそこに流れる文山の思想を紐解いていきます。