本展では、20世紀前半に中国大陸でつくられた風俗人形(天津の工房「泥人張(ニィレンチャン)」の土人形、上海の土山湾孤児院で製作された黄楊(つげ)人形)および圓平(えんぺい)人形等を展示します。
いずれも、農業・漁業、商売、遊戯・娯楽、冠婚葬祭等、当時の中国の生活文化を巧(たく)みに表現した人形で、その中には現在ほとんど目にすることがない職業や風習も多く含まれます。さらに今回は、人形が象(かたど)った風俗に関連する民俗資料も併せて出品します。
当館は海外の風俗・習慣・文化等を学ぶ博物館として創設されたことから、各国の文物を数多く所蔵しています。この中には、世界各地の風俗を表現した人形も多く含まれています。その理由として、風俗人形を見ることで庶民の生活がより具体的に理解できると考えられたことが挙げられます。
収集時より約80年が過ぎた現在、これらの人形資料は、現地にもほとんど残されていない貴重なものとなりました。近年は、当時それらが作られた工房や時代背景などを研究するための参考資料としても注目されています。
さまざまな風俗人形を通して、かつての中国の暮らしの一端に触れてみましょう。