日本刀は、古来災いや邪気を払う霊器として神聖視され、武士にとっては、武器であるとともに精神的支柱であり、日本人の精神文化に大きな影響を与えてきました。また日本刀は日本を代表する美術品として、世界でも高い評価を得ています。優美な姿、千変万化する刃文などその見どころは多彩です。
本展では、日本屈指の刀剣コレクションを誇る「佐野美術館」の収蔵品より、平安時代から江戸時代の代表的な名工の刀剣、刀装具約100件を一堂に展示し、約1000年にわたる日本刀の歴史を通じて、日本人が培ってきた美意識や文化を紹介します。さらに岡崎ゆかりの武将である本多忠勝愛用の名槍「大笹穂槍 銘 藤原正真作(号 蜻蛉切)」の特別出品に合わせて、忠勝所用の「黒糸威胴丸具足」(重要文化財)をはじめとする本多家の名宝を展示するとともに、中世矢作で活躍した薬王寺派など三河の刀工の名品もご覧いただきます。
日本刀の一振りひとふりの美しさを心行くまで御鑑賞ください。そして、それぞれの日本刀が語りかける物語に耳を傾けていただければ幸いです