北方文化博物館のメイン展示品とも言える”伊藤邸”。明治15(1882)より8年をかけて建設された主屋棟と大広間棟をはじめ、長大な門や蔵、敷地を囲む塀などが順次建てられました。
このたび、これら建造物の屋根に葺かれた『安田瓦(やすだがわら)』に注目します。安田瓦は現在の阿賀野市保田地域にて天保年間(1830頃)より生産の続く名瓦で、耐雪・凍害・塩害など日本海側特有の気候に適した性能を持ち、東北や北海道へも職人とともに渡っています。
本展覧会では、安田瓦協同組合さんによって制作・設置された安田瓦の歴史年表、職人の道具や鬼瓦の図面、型などの展示を通してその特徴や生産行程を紹介します。また伊藤邸修繕の際に一部降ろされた当時の瓦も展示室でご覧いただきます。
伊藤邸の屋根は今も安田の職人たちによってメンテナンスされ、ほとんどが当時の瓦のまま使い続けられています。機械化される以前の手作業によって作り、葺かれた瓦からは職人の息遣いまでが伝わるようです。伝統的な「安田の鉄色」が美しい伊藤邸の安田瓦の世界を、展示と建物そのものを通してお伝え致します。