2018年、いわさきちひろ(1918-1974)は生誕100年を迎えます。にじむ色彩で描かれた子どもたち、花々、そして大きく空けられた余白、絵本、挿絵、カレンダーなど、さまざまなメディアを通じてその絵は日本国中の隅々にまで浸透し、没後40年を超えてなお膨らみ続ける人気は今や世界に広がりつつあります。
一方で、その作品に関しては、「子ども、花、平和」などのモティーフ、あるいは「かわいい、やさしい、やわらかい」といった印象ばかりが注目されやすいようです。「いわさきちひろ、絵描きです。」―のちの伴侶と出会った際に自己紹介したちひろの言葉をタイトルに掲げる本展は、「絵描き」としてのちひろの技術や作品の背景を振り返る展覧会です。ちひろはどのような文化的座標に位置し、どのような技術を作品に凝らしたのか。新出の資料も交えた約200点の展示を通じて作品の細部に迫り、童画家としてのちひろイメージの刷新を試みます。